遺言書ってどうすれば良いの?

浜松市の「すずきあきら行政書士事務所」の事務員のえりかです。

前回は2回に渡って、『法定相続』とは何か?についてご説明させていただきましたが、今回は『遺言による相続』について知識を深めていきたいと思います。

以前のブログで何度か触れた内容になりますが、『遺言による相続』とは、被相続人が遺言書により相続の内容を決める相続のことをいいます。
相続の問題が発生した時、亡くなった方の『遺言書』が残されている場合は、その遺言書の
内容が相続において最も優先されます。
遺言書があった場合、遺言書で相続の受取人として指定された相続人等と、遺言執行者(遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人)は遺産分割協議書をせず、他の相続人に同意を求めることなく、相続手続きを進めることができます。
その為、被相続人が亡くなって相続が発生したら、まず最初に相続人が確認しなければいけないのが、遺言書を残しているかどうかの確認です。
遺言書は、亡くなった方が自分の財産をどのように相続人または相続人以外の者に承継させたいと望んでいたのか、亡くなった方の最後の意思表示になる為、相続人の意思よりも優先されることとなります。

続いて、遺言書の種類とメリット・デメリットついて記していきます。
遺言書には、『自筆証書遺言』『公正証書遺言』『秘密証書遺言』の3種類の遺言方法があります。

『自筆証書遺言』は、自分で紙に書き記す遺言書のことで、最低限の紙、ペンと印鑑だけでもあれば、誰でも気軽に作成が可能で費用もかからないのです。その為、遺言書としては一番多く利用されています。ただし、書き間違えや遺言内容が曖昧で遺言書として無効になってしまったということがとても多いので注意が必要な遺言方法となります。
以前は遺言書の全文及び財産目録(株や土地、現金、預金、定期預金などの財産を一覧にしておくこと)を自書しなければならず、パソコンで目録を作成したり、通帳のコピーを添付することもできませんでしたが、民法の改正に伴って、遺言書に添付する財産目録に限ってはパソコンでの作成やコピーが可能になりました。(2019年1月13日施行)
<メリット>
*簡単に作成できる
*証人がいらないので秘密が保てる
*費用がかからない
<デメリット>
*方式不備や内容不明確の恐れがある
*偽造・変造・滅失の危険性がある
*検認手続きが必要
 (検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正(文書の一部を取り消し、代わりとなる文言を書き加えて訂正すること)の状態、日付、署名などの検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。)

『公正証書遺言』とは、遺言書を公正証書にしたもので、公証役場で作成します。
公証役場にいる公証人と呼ばれる人が、法律の規定通りに公正証書として書類を作成するので確実に有効な遺言書を残したいときや相続財産の金額が多いときに主に利用されています。
<メリット>
*方式不備で無効になることがまずない
*内容が明確
*検認手続きが不要
*偽造・変造・滅失のおそれがない
<デメリット>
*遺言書の存在と内容を秘密にしておくことができない
*費用がかかる

『秘密証書遺言』とは、公正書遺言と同じく公証役場で作成手続きしますが、遺言内容は公証に知られずに作成できるので、絶対に亡くなるまでは秘密を守りたい、誰にも内容を知られたくない、という場合に利用されています。
<メリット>
*内容を秘密にしておくことができる
*方式不備で無効になるおそれが少ない
<デメリット>
*手続きが複雑
*内容が不明確になるおそれがある
*作成したことを秘密にしておくことはできない
*費用がかかる
*検認手続きが必要
【民法の解説-相続法-・中野相続手続きセンターホームページより参照】

以上が遺言書の3つの種類になりますが、当事務所では、『公正証書遺言』をお勧めしています。
その理由は、公正証書遺言は法的に守られている為、安心安全であり、また、手間のかかる検認手続きが不要であるからです。

最後に、皆さんは『争族』という言葉を知っていますか?
相続争いをしている家族や親族のことを「相続」とかけて『争族』と呼ぶ言葉です。
残された家族の為に最後のメッセージとして『遺言書』という形で残すことは、「相続」を「争族」にしない為に、相続人同士が遺産相続で揉めたりしないようにする為にも有効な手段の1つではないでしょうか?


浜松や磐田、森町、掛川やその近郊の方で遺言書を検討されている方、終活を始めたばかりでこれから先々の事を考え始めた方…少しでも相続に興味関心を持たれた方は、お気軽に無料相談をご利用くださいね^_^