老後の心配を無くしたい!

前回のテーマに引き続き、任意後見人制度のメリット・デメリットについて記していきたいと思います。

<任意後見人制度のメリット>
1 判断能力が無くなった後でも希望の生活を送れる
例えば、在宅で生活をしている状態で認知症になって判断能力が無くなったとします。
もし任意後見を結んでいない場合なら、法定後見制度(判断能力が不十分な方に対して、本人の権利を法律的に支援、保護するための制度)を活用することになるかと思いますが、多くの場合本人の身の安全を考えて老人ホームに入居する方向で話が進みます。
しかし、本人の意思としては出来るだけ在宅生活を続けたいという思いがあった場合は、老人ホームに入るということは、自分の意にそぐわない処遇になってしまいます。
任意後見制度を活用している場合なら、自分の意思を後見人にあらかじめ伝えることができますので、介護サービスを受けながら在宅生活を続ける方向で話が進んでいくでしょう。
自分の意思を事前に伝えられることが、任意後見制度のメリットであるといえます。

2 任意後見監督人が付く
任意後見監督人とは任意後見人を監視する役目のある方です。
例えば、不正にお金を使用していないか、本人の不利益になることをしていないかなど、第三者の目で見ることが出来ますので、安心して利用ができるといえます。

3 公的に登記される
任意後見契約を結ぶとその内容が登記されますので、公的に後見人となることができます。公的な効力が発生するというのは様々な手続き関係で有効となります。
例えば、後見人が本人の住所変更をすることもできますし、後見人が本人の預金口座から預金を引き出すこともできますので、登記されるメリットとしては非常に大きなものがあります。

4 詐欺に合うリスクが少なくなる
後見任が付いていることによって、本人にもし詐欺まがいの話が合ったとしても、契約することを防止することができます。任意後見が発動されている場合ですと、あらかじめ本人に代わって話を聞くことになりますので、怪しい話などの場合は契約をせずにリスク回避できるといえます。

<任意後見人のデメリット>
1 後見人と監督人の報酬金がかかる
後見人には報酬が発生することを理解している方が多いと思いますが、監督人までに報酬が発生するということを知っている方は少ないのではないでしょうか。後見人に対しては1万円~5万円かかることに対して、監督人には5千円~2万円程かかります。
後見人に支払う額に対して半分程度の費用を監督人に支払う必要がありますので、注意しておきましょう。

2 本人が生きている間のみ有効
任意後見制度は本人の後見を行う制度ですので、もし本人が亡くなった場合はその権限はなくなります。つまり、本人の葬儀などは後見人が行うことは基本的にはする権限がありません。
もちろん家族などが後見人をしている場合なら問題ありませんが、専門家に頼む場合は本人が生きている間の後見人、本人が死亡した後の手続きを行う契約も一緒にしておかないと亡くなった際にトラブルが起きてしまうでしょう。

3 取り消し権がない
任意後見人は法定後見人と違って取り消し権がありません。
もし本人が契約を結んでしまいますと取り消しすることができないので注意しましょう。
なお、法廷後見人は取り消し権があります。

続いて、任意後見人を依頼する人のメリット・デメリットについて記します。
1 子どもに依頼をするメリットデメリット
子どもであれば、人となりが分かりますし、信頼関係もありますのでそういった点では他の方にはないメリットであるといえます。
しかし、注意したいこととしては、子どもの場合は金銭のトラブルが非常に多いということがあります。いわゆるお金を使い込んでしまうということです。
後見人は本人に代わって様々な手続きを行うことが出来ますし、土地の売買や定期預金の解約などもできる権限があり、使おうと思いますとほとんどのことが出来ます (契約内容にもよる) 。
また、親のお金だから少し手を付けてもよいだろうと考える場合も多く、第三者がチェックをすれば預金がほとんどなくなっていたというケースも少なくはありません。

2 親族に頼むメリットデメリット
子どもがいない場合や、子どもにお願いするのに気が引ける方であれば、自分の兄弟姉妹やいとこなどに後見人を頼むケースもあります。
ある程度人となりを知っていますし、兄弟姉妹などの場合は信頼関係もあるので良いでしょう。
デメリットとしては子どもと同じく金銭の使い込みの可能性があるということです。やはり親族の場合はどうしてもそういったデメリットがありますので、本当に信頼できる方を選択することをお勧めします。

3 専門家に頼むメリットデメリット
専門家とは主に弁護士や司法書士、行政書士、社会福祉士が該当します。
メリットとしては、やはり専門知識に基づくサービスを受けられるということです。
子供や親族のように知らない間にお金を使い込まれるといった心配はありません。
デメリットとしては、費用がかかるということです。
【終活ライブラリー】参照

ご自身に判断能力があるうちに任意後見人制度を依頼するという選択は、老後の安心材料の一つになるのではないかと思います。
当事務所でもご依頼をお受けできますので、お聞きしたいこと等ございましたらお気軽にご連絡ください。